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愛犬の咳・苦しそうな呼吸~突然の呼吸停止を救った症例紹介~

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はじめに

ワンちゃんの咳や「呼吸が苦しそう」といった症状は、単なる風邪と思われがちですが、重大な病気のサインである可能性もあります。

今回は、院内で突然の呼吸停止を起こした緊急症例をご紹介します。
咳や呼吸の異変を甘く見ず、早めの受診がいかに大切かをお伝えします。

 

症例紹介

  • 種類:トイ・プードル
  • 年齢:12歳
  • 性別:去勢済みオス

 

主訴

  • 数日前からゼーゼーした呼吸をする
  • 呼吸が荒く、苦しそうな様子が見られる

飼い主様からこのような主訴があり、当院を受診されました。

 

シグナルメント・レントゲン検査

  • 心拍数:160回/分
  • 呼吸数:60回/分
  • 呼吸様式:検査時に興奮すると努力性呼吸となった。

レントゲン検査

苦しそうな呼吸をすることからレントゲン検査を行ったところ、喉頭領域(赤丸)に気道を閉塞する腫瘤の存在することが判明しました。

診察中に起きた異変:チアノーゼと呼吸停止

しかし、診察中の興奮したタイミングで舌が紫色に変色(チアノーゼ)し、そのまま意識を失う事態に発展しました。

緊急対応

すぐに気管挿管(人工呼吸を行うための処置)を実施ししたところ、口腔内に大きな**腫瘤(しこり)**が確認されました。

この腫瘤が気道を圧迫していたことが、咳や呼吸困難の原因と考えられました。

 

緊急手術と診断結果

腫瘤切除手術

喉の奥に腫瘤を発見したことから、本例は緊急手術を行いました。手術では電気メス(バイクランプ)を用いて腫瘤を無事に切除できました。

診断

病理検査の結果、腫瘤の正体は**唾液腺嚢胞(だえきせんのうほう)**と判明しました。

唾液腺嚢胞とは?

唾液腺で作られた唾液が分泌されずに、唾液腺内に袋状にたまる病気です。
サイズが大きくなりすぎると、気道を閉塞し、呼吸困難を引き起こすことがあります。

 

腫瘤切除後のワンちゃんの呼吸状態は安定しており、順調に回復しています。

現在も定期的な経過観察を続け、再発防止に努めています。

 

飼い主様へのメッセージ

咳を甘く見ないで

  • 咳をしている
  • 息が荒い、苦しそう
  • 舌の色が紫っぽい
  • 元気がない

こうした症状は、「ちょっと疲れてるだけ」と見過ごしがちですが、重大な呼吸器・心臓・腫瘍性疾患が隠れていることもあります。

早期発見・早期治療が命を救う

今回はたまたま動物病院で呼吸停止したので、早急な対応・治療が行えましたが、自宅や外出中に起こっていたらどうなっていたか…。
「少しでもおかしいな」と思ったら、すぐに動物病院を受診しましょう。

 

呼吸困難の原因と検査・治療について

 

当院ではこんな症状に対応しています

✅ 咳が続いている
✅ 呼吸が荒い・苦しそう
✅ チアノーゼ(舌が紫色)
✅ 突然ぐったりした

どんな小さな変化でも、お気軽にご相談ください。
緊急対応も可能ですので、お困りの際はすぐにご連絡を!

 

まとめ

愛犬の咳・苦しそうな呼吸は危険信号

✅ 咳や呼吸困難は、ただの風邪とは限りません
✅ 気道を圧迫する病気(唾液腺嚢胞など)が隠れている場合も
✅ 早期発見・早期治療が愛犬の命を救います

おかしいな?と思ったら、すぐに当院へご相談ください!

 

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Author

院長 獣医師 獣医循環器学会認定医 アジア獣医内科専門医(循環器)

Director D.V.M., Ph.D.Yasutomo HORI

プロフィール

2001年
北里大学獣医畜産学部獣医学科 卒業
2001年4月-
2005年3月
小儀動物病院 勤務
2005年
北里大学獣医畜産学部小動物第3内科 助手
2007年
北里大学獣医学部小動物第3内科 助教
日本獣医循環器学会認定医 取得
2009年
博士(獣医学)取得
2010年
北里大学獣医学部小動物第2内科 講師
2015年
北里大学獣医学部小動物第2内科 准教授
2016年
酪農学園大学伴侶動物内科学IIユニット准教授・循環器科診療科長
2020年
大塚駅前どうぶつ病院 心臓メディカルクリニック 院長
2021年
アジア獣医内科専門医(循環器) 取得

役職

  • 日本獣医循環器学会 理事(2017年~)
  • さっぽろ獣医師会 理事(2019年~2020年)
  • どうぶつ検査センター株式会社 アドバイザー(2020年~)
  • VMN コンサルタント(2020年〜)
  • 動物臨床医学会 循環器分科会企画実行委員 (2024年~)

所属学会

  • 日本獣医循環器学会

大学教員として、犬や猫の心臓病および心不全の診断・治療に関する研究に数多く携わってきました。
また、獣医師向けの各種セミナーで講師を務めるほか、獣医関連の雑誌や書籍の執筆にも精力的に取り組んでいます。
これまでの経験を活かし、飼い主様と動物に寄り添う獣医療を提供いたします。

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