血液検査·生化学検査について

血液検査·生化学検査

血液検査

血液中の細胞数を測定し、貧血や炎症の有無を確認します。

項目 生理学的意義 高値 低値
白血球数 生体防御に関わる免疫機能を担っています。単球、リンパ球、好中球、好塩基球、好酸球を合計した数を示しています。 炎症や感染、白血病など生理的状態(ストレスや興奮) 骨髄疾患、重度感染症、ウイルス感染
赤血球数 酸素の運搬を担っている細胞の数を表し、貧血の有無を示しています。 脱水、腎臓腫瘍など 貧血、血液希釈
ヘモグロビン(血色素)濃度 赤血球の中に存在し、酸素と結合する蛋白質の濃度を示しています。貧血の有無を調べています。 脱水、腎臓腫瘍など 貧血、血液希釈
ヘマトクリット(%) 血液中に占める赤血球の体積の割合を示しています。貧血の有無を調べています。 脱水、腎臓腫瘍など 貧血、血液希釈
平均赤血球容積(MCV) 赤血球の1個あたりの大きさを表します。 ヘマトクリット値(%)÷赤血球数(10⁶/mm²)]×10 貧血を分類する際に用います。 再生性貧血、溶血性貧血 鉄欠乏性貧血、慢性腎疾患、慢性炎症
平均赤血球血色素量(MCH) 赤血球の1個あたりのヘモグロビン量の平均値を表します。 [ヘモグロビン(g/㎗)÷赤血球数(10⁶/mm²)]×10 貧血を分類する際に用います。 意義は少ない 意義は少ない
平均赤血球血色素濃度(MCHC) 赤血球の容積に対するヘモグロビン量の比を表します。 [ヘモグロビン(g/㎗)÷ヘマトクリット値(%)]×100 貧血を分類する際に用います。 鉄欠乏性貧血、慢性腎疾患、慢性炎症
血小板数 血液凝固を担う直径2~3μmの細胞小片の数を示しています。 炎症性疾患、腎不全 血小板減少症、DIC、骨髄疾患 *猫は正常でも低値になりやすい

血液生化学検査

内臓で産生・代謝される様々な成分を測定し、内臓の異常を推測する検査です。

項目 生理学的意義 高値 低値
総蛋白(TP) 血液中の蛋白質の総量を示しています。 脱水、炎症など 低栄養、肝不全、消化管や腎臓からの喪失
アルブミン(Alb) 血液中の蛋白質の約50~65%を占め、主に肝臓で生成されます。 脱水 低栄養、肝不全、消化管や腎臓からの喪失
猫伝染性腹膜炎(猫)
血糖値(グルコース: Glu) 肝臓で生成され、体のエネルギー源として利用されます。 犬>180mg/dl
猫>280mg/dl
生理的上昇:食後、興奮時
病的上昇:糖尿病、副腎皮質機能亢進症
肝不全、副腎皮質機能低下症、悪性腫瘍(肝細胞癌、リンパ腫、インスリノーマなど)
総コレステロール(T-Chol) 血清コレステロールの約80%は肝臓で合成され、細胞やホルモン、胆汁酸の材料となります。 胆汁うっ滞、食後、糖尿病、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群 肝不全、小腸疾患、門脈体循環シャント
中性脂肪(トリグリセライド: TG) 肝臓で合成され、体内に貯蔵されています。エネルギー源であるグルコースが不足した時に、エネルギー源として利用されます。 食後、甲状腺機能低下症、糖尿病、副腎皮質機能亢進症など
犬種特異的高脂血症(T-Cholと共に判断)
肝臓病、甲状腺機能亢進症、副腎機能不全など
AST(GOT) 肝臓や心臓、筋肉などに広く存在し、アミノ酸を合成する酵素の一つです。 心筋・骨格筋障害、肝障害(肝炎、脂肪肝、肝臓がん、など)
ALT(GPT) 肝臓や腎臓に存在し、アミノ酸を合成する酵素の一つです。 肝障害(肝炎、脂肪肝、肝臓がん、など)、腎障害 甲状腺機能亢進症
アルカリホスファターゼ(ALP) 肝臓、腎臓、骨、小腸に存在し、リン酸化合物を分解する酵素です。 生理的上昇:成長期の若齢動物 病的上昇:胆汁うっ滞、肝リピドーシス、肝炎、膵炎、ステロイド(犬)
ɤ-GPT(GGT) 胆管に存在し、蛋白質を分解する酵素です。肝臓の解毒作用に関わっています。 胆汁うっ滞、肝炎、胆管肝炎、膵炎、ステロイド(犬)
総ビリルビン(T-Bil) 赤血球中のヘモグロビンが肝臓で代謝されたものです。 肝疾患(肝炎、肝硬変、肝がん)、溶血性疾患、胆汁うっ滞
クレアチンキナーゼ(CK) クレアチンホスホキナーゼ(CPK) 筋肉に存在し、筋肉細胞のエネルギー代謝に重要な役割を果たしています。 筋障害(筋ジストロフィー、多発性筋炎)、血栓症、甲状腺機能低下症 甲状腺機能亢進症、高ビリルビン血症
尿素窒素(BUN) 蛋白質が代謝される際に生成される代謝産物であり、尿素となって腎臓から排泄されます。 脱水(嘔吐·下痢、利尿薬)、腎疾患、尿路閉塞、腸管出血 肝不全、尿崩症
クレアチニン(Cre) 筋肉内のクレアチンが代謝されてできた物質です。腎臓の糸球体から排泄され、腎機能を反映しています。 脱水(嘔吐·下痢、利尿薬)、腎疾患、尿路閉塞 削痩、筋疾患、尿崩症
無機リン(IP) 骨の代謝や腎機能、食餌の影響を受けて変化します。 生理的上昇:成長期の若齢動物 病的上昇:腎不全、原発性上皮小体機能低下症、骨腫瘍、細胞崩壊 くる病、糖尿病、原発性上皮小体機能亢進症
カルシウム(Ca) 骨の代謝や腎機能、食餌の影響を受けて変化します。 骨疾患、腎不全、悪性腫瘍、上皮小体機能亢進症 上皮小体機能低下症、急性膵炎
リパーゼ(Lip) 膵臓で合成され、脂肪の分解に関わる消化酵素です。 膵炎、膵管の狭窄·閉塞、腎不全
ナトリウム(Na) 生体に必要なミネラルの一種で、細胞の機能を正常に保つ働きがあります。 脱水、尿崩症、嘔吐·下痢、水分の喪失 腎不全、利尿剤、消化器疾患、肝不全、低蛋白血症、甲状腺機能低下症、アジソン病
カリウム(K) 生体に必要なミネラルの一種で、細胞の機能を正常に保つ働きがあります。 腎不全、尿管·尿道閉塞、アジソン病、糖尿病 嘔吐·下痢、利尿剤、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症
クロール(Cl) 生体に必要なミネラルの一種で、細胞の機能を正常に保つ働きがあります。 通常、Naに付随して変化 高Na血症、ネフローゼ症候群 通常、Naに付随して変化 アジソン病、利尿剤の使用、嘔吐

特殊検査

ルーチンには検査を行っていませんが、特定の疾患を疑う場合に検査を行います。

項目 生理学的意義 高値 低値
甲状腺ホルモン(サイロキシン: T4) 甲状腺から分泌されるホルモンで、基礎代謝を調整しています。主に、脳・心臓・胃腸の活性化や体温調節に関わっています。T4は蛋白質と結合して血液を循環しています。 甲状腺機能亢進症の可能性 甲状腺機能低下症、ユーサイロイドシック症候群⇒ FT4とTSHの確認が必要です。
遊離型甲状腺ホルモン(FT4) FT4は甲状腺ホルモンの中で、活性型として作用しています。 甲状腺機能亢進症 ・FT4とTSHが正常の場合⇒甲状腺機能低下症は除外 ・FT4が低値&TSHが高値の場合⇒甲状腺機能低下症
甲状腺刺激ホルモン(TSH) 下垂体前葉から分泌され、甲状腺に働きかけてT4の分泌を促します。T4が多い時には負のフィードバックにより分泌が抑制されます。 TSHが高値で ・T4とFT4が高値の場合⇒甲状腺腫瘍の可能性 ・T4とFT4が正常以下の場合⇒甲状腺機能低下症 TSHが低値で ・T4とFT4が高値の場合⇒甲状腺機能亢進症 ・T4とFT4が正常以下の場合⇒中枢性甲状腺機能低下症
尿中蛋白(UPC) 通常、蛋白質が尿中に出現することはほとんどありません。尿への蛋白の漏れを検出し、腎機能の評価に役立ちます。 腎疾患、膀胱炎、高血圧、癌、急性感染
CRP(犬)、SAA(猫) 炎症の有無を調べます。 炎症性疾患、自己免疫疾患、感染症、悪性腫瘍全
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP) 心筋細胞で産生されるホルモンの一種です。心臓疾患の有無や重症度(特に心房拡大)の指標として利用しています。 うっ血性心不全のリスク
N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP) 心筋細胞で産生されるホルモンの一種です。心臓疾患の有無や重症度の指標として利用しています。 心不全のリスク
心筋症や心筋炎
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