肺葉切除
【犬猫の肺葉切除】適応症・手術方法・術後ケア・予後を獣医師が徹底解説!
はじめに
犬や猫においても、肺の病変によって命に関わる状況に陥ることがあります。肺葉切除(肺葉摘出術)は、肺の一部を外科的に切除する高度な治療法です。本記事では、大塚駅前どうぶつ病院 心臓メディカルクリニックの獣医師監修のもと、肺葉切除の適応症、手術方法、術後ケア、予後について詳しく解説します。
肺葉の役割と肺葉切除の基本概念
肺葉は、肺の中で酸素と二酸化炭素の交換を行う重要な役割を担っています。(動物種によって多少異なりますが)肺は左右それぞれ複数の肺葉から構成されており、局所的な病変が発生した際には、影響を受けた肺葉のみを切除することで、病気を治療することができます。
肺葉切除(肺葉摘出術)とは?
肺葉切除術(肺葉摘出術)は、肺の一部である肺葉を切除する外科手術です。この手術は、主に肺がんやその他の肺疾患(肺葉捻転、膿瘍)など、肺実質が部分的・普遍的に機能しなくなった場合の治療(最終手段)として用いられます。肺葉切除術は、病変が含まれている肺葉を取り除くことで、病気の進行・蔓延を防ぎ、患者の健康を改善することを目的としています。
肺葉切除の適応症
肺葉切除が必要となる主な疾患
- 原発性肺腫瘍
- 重度の肺膿瘍や肺炎性病変
- 肺葉捻転
- 肺嚢胞
- 外傷による肺の裂傷や出血制御困難例
局所的かつ外科的に切除可能な病変が対象となり、全身転移や他肺葉への広範な浸潤が認められる場合は適応外となることもあります。
肺葉切除の手術方法
肺葉切除術の流れ
- 術前検査(胸部レントゲン、超音波検査、血液検査、必要に応じてCT検査)
- 全身麻酔下で開胸手術を実施
- 病変肺葉の血管・気管支を結紮し、肺葉を切除
- 出血・エアリークの確認後、胸腔ドレーン設置
- 胸腔を閉鎖し手術終了
手術時間や約2時間を予定していますが、病変部の状況次第では前後することがあります。
術中は循環管理、呼吸管理を厳重に行い、術後の肺機能維持を図ります。
術後管理
肺葉切除後のケアは?
- 術後の酸素療法と疼痛管理
- 胸腔ドレーン管理と排液モニタリング
- 感染予防のための抗生物質投与
- 入院期間は平均的に3~5日を予定しています。
予後
- 良性病変(嚢胞、肺葉捻転など)の場合は予後良好で、通常は数週間で完全回復が期待できます。
- 悪性腫瘍の場合は、腫瘍の種類・病期によって予後が異なります。完全切除できた場合でも再発リスクがあり、長期管理が必要となるケースもあります。
よくある質問(FAQ)
Q1:肺葉切除後、犬や猫は普通に生活できますか?
A1:通常、残存する肺葉が十分に機能していれば、日常生活に大きな支障はありません。運動制限は術後しばらく必要ですが、徐々に回復します。
Q2:肺葉切除手術のリスクは?
A2:全身麻酔リスク、出血、エアリーク(気漏)、感染などが考えられますが、術前検査と適切な周術期管理によりリスクは大幅に低減できます。
Q3:手術費用はどのくらい?
A3:施設や症例によりますが、50万〜80万円程度が目安です。検査費用、入院費、術後管理費も含まれるため、詳細は病院に確認が必要です。
Q4:術後に再発する可能性は?
A4:良性疾患ではほぼ再発はありませんが、悪性腫瘍の場合は再発や転移のリスクが残ります。定期的な検診が推奨されます。
まとめ
肺葉切除は、犬猫の肺の局所的な重篤病変に対して有効な外科治療法です。適切な症例選択と確実な手術・術後管理によって、多くの動物が良好な回復を遂げることができます。異変に早く気付き、専門医と連携して治療を進めることが、愛犬・愛猫の命を救うカギとなります。

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